編集者のノウハウを凝縮した「地元広報室 Local Edit」。使い慣れたWordを、テキストボックスによる精密なDTP技術でプロ仕様のデザインへ。商品戦略に基づく物語の構成から、画像編集、印刷完全対応データ作成までサポート。事務用ソフトの枠を超え、商品の魅力を「売れる・伝わる」形に編集します。
Wordデザインで重要な要素といえる「テキストボックス」について、
・DTPデザイン(自由な位置に自由に文字を配置)
・図解デザイン(構成要素の体系化や時系列配置)
・新聞デザイン(テキストボックスの連結と段組み配置)
この3点を使いDTPデザインが可能になるという点を踏まえて、Wordによるデザインにおいてテキストボックスの具体的な使い方を解説します。
WordでプロレベルのDTPデザインを実現する鍵は、行の中に文字を打ち込む「ワープロ的思考」を捨て、**「テキストボックスを独立したデザインパーツとして扱う思考」**に切り替えることです。
MASAプランニングラボが実践する、テキストボックスを駆使した具体的な活用術を3つの視点で解説します。 詳細ページはこちら
Wordのデフォルト設定では文字は行に縛られますが、テキストボックス(描画オブジェクト)化することで、ミリ単位での配置が可能になります。
配置の自由化: 「レイアウトオプション」を**「前面」**に設定することで、背景画像の上や紙面の端など、従来のWordでは不可能だった位置に文字を配置できます。
重ね合わせの視覚効果: テキストボックスの「図形の塗りつぶし」をなし(透明)に設定することで、写真の上に文字を重ねたり、複数のボックスを重ねて奥行きのあるデザインを作ったりできます。
精密な整列: 「書式」タブの「配置」機能(左揃え・上下に整列など)を使い、テキストボックス同士を完璧に整列させることで、Illustratorのような「グリッド」を意識した美しい仕上がりになります。
商品戦略を伝える上で欠かせない「図解」も、テキストボックスを「箱」として捉えることでスムーズに構築できます。
要素のモジュール化: サービスの強みやプロセスを、それぞれ独立したテキストボックスに分割します。これにより、後からの位置変更や要素の入れ替えが容易になります。
コネクタによる関係性の明示: テキストボックス同士を「矢印(コネクタ)」で結ぶことで、時系列や因果関係を視覚化します。ボックスを動かしても矢印が追従するため、複雑な構成図も崩れません。
情報の階層化: ボックスの枠線の太さや背景色を変えることで、メインメッセージと補足情報の「強弱」をつけ、直感的に理解できる紙面を構成します。
新聞社ならではのノウハウとして、大量のテキストを読みやすく配置する技術です。
テキストボックスの連結: 1つのボックスに入り切らなかった文章を、別の場所にある別のボックスへ自動的に流し込む**「テキストのリンク作成」**機能を使います。これにより、複雑な段組みや、画像を避けて文章を配置する「回り込み」のような高度な編集が可能になります。
段組みの精密コントロール: 標準の段組み機能ではなく、あえて複数の細長いテキストボックスを並べることで、コラム欄や注釈など、新聞特有の多層的なレイアウトをWord上で完全に再現します。
視線の誘導: 見出し用のボックスと本文用のボックスを分けることで、フォントサイズや行間を個別に調整し、読者の視線を意図した通りに動かす「編集者の意図」を形にします。
テキストボックス技術を使って「実際にチラシのタイトル周りを作る具体的な手順」を解説します。
Wordのテキストボックス技術を駆使して、プロのような「チラシのタイトル周り」を構築する具体的な手順を解説します。この手法は、DTPプロダクションとしての編集技術と、WordでのDTPデザインを融合させた実践的なプロセスです。
Wordの通常入力は使わず、タイトルの要素(メインコピー、サブキャッチ、飾りなど)をすべて別々のテキストボックスに分けます。
要素の書き出し: 「メインタイトル」「キャッチコピー」「日付・場所」など、要素ごとにテキストボックスを作成します。
レイアウトオプションの設定: すべてのボックスを選択し、右上のアイコンから「前面」に設定します。これで、ミリ単位で自由に重ねたり動かしたりできるようになります。
枠と塗りの解除: 「図形の書式」から、塗りつぶしを「なし」、枠線を「なし」にして、文字だけが浮いている状態にします。
新聞社が記事の重要度を「見出しの大きさ」でコントロールするように、タイトル内でも強弱をつけます。
ジャンプ率の操作: 最も伝えたい「メインタイトル」を極端に大きくし、補足する「サブキャッチ」をその近くに小さく配置します。
テキストの連結機能の活用: もし長いリード文をタイトルの横に添える場合は、2つのテキストボックスを作成し、「リンクの作成」機能で連結します。これにより、ボックスのサイズを変えても文章が自動で流動し、美しい段組を維持できます。
物語の入り口を作る: 読者の興味を引くフレーズを少し傾けたり、吹き出し型のテキストボックスに入れたりして、紙面への「物語の入り口」を演出します。
文字だけでなく、図形機能を併用してタイトルを「図解化」し、一目で内容が伝わるようにします。
座布団(背景)を敷く: タイトルの背面に長方形や円を配置します。単なる四角ではなく、角丸の調整や透明度の操作をすることで、プロ用ソフトのような「ヌケ感」が出ます。
グループ化による一括操作: 配置が決まったら、すべてのテキストボックスと図形を選択して「グループ化」します。これで、タイトル周りの構成を崩さずに、チラシ全体のバランス調整が可能になります。
裁ち落としの確認: タイトルの端を紙面の外まで伸ばすデザインにする場合は、プロの印刷発注に対応できるよう、塗り足し領域(仕上がり線より3mm外側)まで図形を広げて配置します。